史上最高の大阪城ホールで〜GLAY HIGH COMMUNICATIONS TOUR 2007-2008
                                      4月10日 大阪城ホール







当初は参戦する予定は無かった。それでも、「行きたい」と思ったのは、山形でのライブが良かったからだ。そして、行くことになったのは、立見席とはいえ、キャンセル分のチケットが取れてしまったからだ。

2008年4月10日、大阪城ホール。HIGH COMMUNICATIONS TOUR 2007-2008。会場を、ホールからアリーナに変えての追加公演。大阪公演の2日目、最終日。

GLAYのライブは1999年の福岡ドーム公演から行くようになった。その年の春に、大学進学の為に大阪に移り住み、2000年のHEAVY GAUGEツアーから本格的にGLAYのライブに行くようになった。その後、日本各地で数々のGLAYのライブを観てきたが、大阪城ホールは、その中でも最多の会場となる。2000年のHEAVY GAUGEツアーは前半・後半を含めて3本、2003年の、前回のHIGH COMMUNICATIONSツアーは3本、2004年のTHE FRUSTRATED -extream-ツアー、2007年のLOVE IS BEAUTIFULツアーは2本ずつ。実に10本ものライブを大阪城ホールで観ている。私がGLAYというバンドを見る時の、バロメーター的な会場と言えるだろう。今回は、その11本目のライブとなった。

立見席は、スタンド上部の通路になる。各々が、思い思いの場所に陣取る中、私はステージ中央部と対面する場所を選んだ。ステージに対して、U字状に広がるスタンド席の底辺部分に当たる。会場全体を見渡せる好位置だ。
セットはイントレと呼ばれる鉄骨が組まれている他は、中央のモニターとカーテン状の飾りしかない。数々の魅力的なセットを作ってきたGLAYにしてはシンプルなセットだろう。やや、拍子抜けした反面、セットでの演出を制限する姿勢に興味を覚えた。ホールで成功した、「ライブハウスの盛り上がり」を今度は、アリーナで実現しようとしていると感じたからだ。

 98年のスタジアムツアー以来、10年振りにGLAYの前説を担当するという、FM802のDJ・浅井博章のMCの後、会場は手拍子で包まれた。そして暗転、ディスコ風のBGMと照明。歓声を切り裂くようにして「ASHES-1969-」からライブは始まった。

「ハイコミらしく、新曲行くぜ!」

と始まったのは、ロック調の新曲、「VERB」。思えば5年前のHIGH COMMUNICATIONS ツアーでも多くの新曲が演奏され、そのテンションをパッケージされた形でリリースされた。同じように、この「VERB」もGLAYの新曲としてリリースされる。

「スタンド!きっと10分後には、ここがライブハウスに思えるはずだ!アリーナ、どんどん声をぶつけてくれよ!」

「今日は1万人集まってるんだけど、自分以外の9999人と声が一つになる瞬間を感じてほしい」

オープニングでのTERUのMCだ。この2つのMCに、GLAYのライブの性格と、このHIGH COMMUNICATIONS ツアーの目指すところを感じ取れる。

「史上最高の大阪城ホールにしようぜ!」

そう叫んだTERUのMCは、この夜のライブを象徴していたと思う。

「coyote colored,darkness」が変わっていた。ホールでのスモークの演出に加えて、ステージ際から火が吹き出す。まるで神懸かったかのような、TERUのパフォーマンス。いつもの「妖しさ」に加え、神々しさを感じた。そして、「セットでの演出」は実質この曲だけとなった。

「熱い大阪に熱い歌を届けたい」と始まったのは、ツアーの中核を担った「SORRY LOVE」だ。広いアリーナに広がるTERUの歌声に、心と一緒に身体を揺らしてしまう。永井誠一郎のピアノに寄り添うように、TERUのボーカル、TAKUROのアコースティックギター、とメンバーが順に音を重ねて、演奏されたのは「カーテンコール」だった。

「1994年、デビューした頃、夢を掴めなくて泣いたり、苦しんだりしていた時期に生まれた曲です」

と紹介されたのは、アリーナツアーで新たな固定曲となった「Life〜遠い空の下で〜」だ。
曲の余韻を残した、永井誠一郎の美しいピアノソロに引き込まれた。心を鷲掴みにされたような、まさに、絶妙の間としか言えないタイミングで始まったのは、バラードコーナーのラストを飾る「BE WITH YOU」だった。皆もそうだったのだろう、あちこちで悲鳴にも似た歓声が上がる。

「STARLESS NIGHT」が始まる。誰もが口ずさめる、明るく、伸びやかなメロディは、ホールよりもアリーナにこそ相応しい曲に思えた。
最前列の女の子達は、曲に合わせて、身体と両手を左右に揺らす。カメラに気付くと満面の笑みで手を振る。

―史上最高の大阪城ホール

この日、TERUの言葉を何度も思い出した。セット演出に頼らず、曲の力だけで、全力で煽るGLAY、それに全力で応じる客席。しかも、「自分が自分が」と前に出るのではなく、自分の場所を守りながらも、会場全体で一つになって、盛り上がることを忘れない客席。

「OK!今日の大阪は心配いらねぇ!すげー盛り上がってるじゃねぇか!」

「SHUTTER SPEEDSのテーマ」の前のJIROのMCである。まさに、この日の大阪城ホールを言い得ていた言葉だ。ラジオ番組を持ってることから、「GLAYの関西方面担当」と言われる彼こそ、この日の大阪城ホールの盛り上がりを、一番肌で感じたのかもしれない。

「皆が夢を持ってくれること、それが俺たちの夢です!」

TERUの力強いメッセージの元、演奏された本編のラスト曲は、「BEAUTIFUL DREAMER」だった。何回も聞いてきたTERUのMCとこの曲だが、この日は特別、力強いメッセージを感じた。

アンコールでは、誰からともなく、客席からウェーブが起きた。アリーナとスタンド、各々がウェーブを終える度に称讃の拍手が起きる。
そして、再びオープニングと同じ、ディスコ風の照明とBGM。客席が、そのイントロを合唱する中、アンコールの一曲目「HIGH COMMUNICATIONS」が始まった。

「こんな時代だからこそ、敢えて歌いたいと思います!」

と始まった「生きてく強さ」から、「ピーク果てしなくソウル限りなく」、そしてラストの「BURST」までの流れは、まさに会場が完全に一体となっていた。
とりわけ、ラストの「BURST」は、「史上最高の大阪城ホール」に相応しいものだった。大阪城ホールに響く、出し惜しみのない、1万人の「BURST」コール。アリーナだけの「BURST」、スタンドだけの「BURST」。対決の形を取りつつも、各々の健闘を称え合う光景に目頭が熱くなった。
思えば、大阪は元気な反面、MC中に歓声を上げて、「マナーが悪い」とTERUから、怒られたこともあった。それが今は、一歩引いた位置から、理想の環境を作り上げている。成長したのは、GLAYだけではない。同じように、ファンも一緒に成長したのだからこそ、「史上最高の大阪城ホール」を作り出すことができたのだ。

「大阪最後というわけで…」

TERUの言葉で、ステージで手を繋ぐメンバーに倣い、客席も手を繋ぐ。久し振りの会場全体で手を繋いでのジャンプ。JIROのコールで「1、2、3!」で会場全体がジャンプする。まさしく、この夜を象徴しているかのような、清々しい笑顔に包まれたジャンプだった。
鳴りやまない、メンバーへの声援の中、TERUはいつもの言葉で締めくくる。

「行ってきます!」

「行ってらっしゃい!」

いつもなら、少し切なさを感じるこの言葉に、今日は何故か温かさを感じた。ステージの中央で、TAKUROがいつもより、綺麗にお辞儀をする。袖に消える瞬間のガッツポーズは、いつもより力強いものだった。

ホールと同じく、エンディングは5年前のオープニング曲だった。曲に被せて、ホールツアーの写真が流れる。曲が終わって、轟音のようなアンコールの中、別のBGMに被せて、ホールツアー52公演の会場と、JIROが撮った客席の笑顔の写真が流れる。モニターに写された最後のメッセージは、

「Thank you!
See you soon…」

そして、

「またここであいましょう。」


だった。終演後の客出しのBGMもまた、「またここであいましょう」だった。5年前のHIGH COMMUNICATIONSツアーのラスト曲であったことを考えると、5年前のライブから、一つの円環を描いたように思えた。

―史上最高の大阪城ホール。
それを成し得たのは、GLAYがホールツアーで培った力だけではなく、ライブを待ち望んだ、あの日の1万人の、1人1人の「意識的な成長」によるところも大きいだろう。
「互いが互いを成長させていく」。GLAYが、ファンがツアーで得た、HIGH COMMUNICATIONSの答えは、そんな理想的な関係ではないのだろうか?

そんな、理想的な関係の元、きっと、「史上最高の大阪城ホール」は更新され続けていくことだろう。―その時々の、究極の“COMMUNICATION”の形と共に。





GLAY HIGH COMMUNICATIONS TOUR 2007-2008 4月10日 大阪城ホール

M-1 ASHES-1969-
M-2 VERB〈未収録曲〉
M-3 誘惑 〈MC〉M-4 YOU MAY DREAM
M-5 ROCK'N'ROLL SWINDLE
〈MC〉
M-6 coyote,colored darkness
〈MC〉
M-7 SORRY LOVE
M-8 カーテンコール
M-9 Life〜遠い空の下で〜
M-10 BE WITH YOU
〈MC〉
M-11 STARLESS NIGHT
M-12 AMERICAN INNOVATION
M-13 Lock on you
〈MC〉
M-14 -VENUS
M-15 KISSIN'NOISE
M-16 Runaway Runaway
M-17 彼女の“Modern…”
M-18 SHUTTER SPEEDSのテーマ
M-19 BEAUTIFUL DREAMER  

ENCORE 
EN-1 HIGH COMMUNICATIONS
〈MC〉
EN-2 生きてく強さ
EN-3 ピーク果てしなくソウル限りなく
EN-4 BURST







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