“COMMUNICATION”の行方〜GLAY HIGH COMMUNICATIONS TOUR 2007-2008
                                 3月17日 山形県県民会館





噂されていたGLAYのホールツアーのタイトルが、「HIGHCOMMUNICATIONSTOUR」と発表された時、期待と好奇心を半々に持った。2003年に行われた同タイトルのツアーは、アリーナツアーとして1万人クラスの会場を中心に行われた。
「HIGHCOMMUNICATIONS」というタイトルは、GLAYEXPO2001のタイトルとなった、「GLOBALCOMMUNICATION」や、2001年末から2002年に掛けて行われたドーム・東北のホールツアー「ONELOVE」での成果や、それに対する、さらなる飛躍の意を込めたタイトルだったのだろう。演出やセット、選曲はアルバムに縛られない自由なものであり、その名の通り、客席とのコミュニケーションを主としたライブだった。途中、イラク戦争で内容に影響が出たにせよ、メンバーには満足がいく内容だったようだ。当時のTAKUROのインタビューで「アルバムのタイミングじゃない時の、何年かに一度はをやりたいツアー」というコメントを覚えている。
「今の自分達に必要なのは、ドームツアーじゃなくて、ホールツアーなんだ」と語っていたGLAYがそのテーマに「HIGHCOMMUNICATIONS」を選んだのは興味深かった。

しかし、今度は最大でも2千人が入るホールクラスの会場である。アリーナツアーほど、セットによる演出は出来ない。自然と選曲や、楽曲面による演出による表現の比重が増えてくる。そんな中でGLAYがどんな「HIGHCOMMUNICATIONS」を見せてくれるのか、楽しみにしていた。

私が行った山形県県民会館でのライブは、ちょうど52公演中の50公演目のライブだった。ツアーファイナルに向けて、メンバーやスタッフのテンションも充実しているだろう、良いタイミングでのライブだった。会館のホールには、メンバーのコメント入りのポスターが掲示されていた。「前回のRe-birthツアーでは最高のアンコールが鳴り響いていた!!その伝説を破りに帰ってきた!」というコメントに、ライブに対する期待も膨らんだ。後に聞くと、Re-birthツアーでは、Wアンコールに応えたいところを次のライブの移動の為に、泣く泣く移動したという。

今まで行った場所とは少し違う、と感じたのは開演のアナウンスが告げられた直後だった。客席が一斉に立上がり、BGMに合わせて手拍子をする。合わせて会場内の温度が上がった気がした。やがて照明が落ち、「ROSY」からライブが始まった。舞台には斜幕が降りており、時折曲に合わせてTERUのシルエットを映す演出がなされた。転じて「棘」からライブは本格的にスタートする。客席からの凄まじい歓声。「これは只事じゃないな」と感じたのは続く3曲目が通常ならライブのクライマックス部に位置することが多い、「彼女の"Modern…"」だったからだ。
「山形!ライブハウスみたいだな!前回のRe-birthツアーの凄いアンコールに応えてGLAYは帰ってきた!」TERUが語るように、この日の山形の盛り上がりは凄かった。それには前回のRe-birthツアーでの共通の記憶があるからだろう。ステージと客席がお互いを引っ張り合っている、そんなライブだった。

「アルバムに縛られない」とメンバーが語るように「アルバムpuresoulからハードなナンバー」「YOUMAYDREAM」、滅多に歌われることのない、「Loverschangefighters,cool」、メンバー、ファンに支持が高い、「coyote,colorddarkness」とライブは続く。

中盤のバラードコーナーでは最新曲の「SORRY LOVE」が今ツアーでは固定され、続く2曲が「REVIEW」以前のアルバムから「Life〜遠い空の下で〜」と「都忘れ」が演奏されたのには驚いた。恋愛の「喪失」と「これから」を歌った「SORRY LOVE」、「空虚な日々」を歌った「Life〜」、「別れ」という意味の花言葉を持ちつつも「I can't feel love with out you」と歌う「都忘れ」。3曲の流れは一つの物語を語っているようで、GLAYが歌い続けてきた、歌い続けていくことを改めて認識させられた。
それにしても、今回のライブは選曲の幅が広い。インターネット等でセットリストが流れても、「いくらでも逃げられるだけの曲はある」と、メンバーはコメントしていた。最終的には本編20曲と、ほぼ、同じ分リハーサルして用意した曲があったという。

転じて、GLAYのライブでの定番ともいうべき、セッションによる観客の掛け合いから、新曲の「STARLESS NIGHT」が始まる。「先週からdocomoで配信されているんだけど、聞いた人?」客席のまばらな挙手に「少ねぇな!」とサビを歌ってみせる。それに全力で応える客席。誰もが歌えるメロディの構築とそれを実現させる力。それこそがGLAYが培ってきた力なのだろう。
タオル回しが恒例となった「AMERICAN INNOVATION」、メンバー紹介からの「Lock on you」、Re-birthツアーから定着した、客席の「TOSHI!」のコールからスタートする「誘惑」、「GLAYのビートはまだまだ続くぜ!」とTERUが煽った「KISSIN'NOISE」、5年前の最初のハイコミツアーを思い出す「Runaway Runaway」、敢えてオープニング曲から外されたことでライブでの自由度を得た、ツアーの象徴ともいうべき「HIGH COMMUNICATIONS」。
ここまでの流れでバラード曲の少なさに気がつくだろう。彼らは「HIGH COMMUNICATIONS」という言葉の答えを客席との応酬に求めた。
本編最後の曲は「今のGLAYの全てを込めた」という「ASHES-1969-」だった。「ASH=灰」とは、まさしくGLAYのことであろうし、「1969年」は音楽史的にも、その時代においてもTAKUROの憧れだという。そのTAKUROが好きだという、ブライアン・アダムスの「SUMMER OF 69'」、そして「GLAY EXPO」の発想の元になった、ウッドストックフェスティバルがこの年に行われている。つまりは、先人達への憧れが自分達の原点であると歌っているのではないだろうか?いずれにせよ、このライブの最後に相応しい曲に思えた。

メンバーがステージから去った直後から、物凄いアンコールが沸き起こった。TAKUROとTERUの2人だけのステージから始まり、順にメンバーが参加していった「HAPPY SWING」。缶ビール片手に現れたHISASHIに「50本目、おめでとう!」とTERUと会場は声を掛ける。
その後は、今ツアーで恒例となっている「リクエストコーナー」だった。選ばれた女性がステージに向かうまで起こっていた、羨望と嫉妬の歓声が「おめでとう!」コールに変わっていく。その様は、清々しい光景だった。しかし、選ばれたのはその女性ではなく、その女性の3歳になる娘さんだった。たちまち「カワイイ!」コールが起きる。「GLAYの中で誰が好き?」というTERUの質問に、女の子は首を傾げて、サポートキーボードの永井誠一郎を選ぶ。その微笑ましい様子に、メンバーも客席も頬を緩めていた。女の子に代わって、母親の女性が選んだのは「SOUL LOVE」だった。
そしてクライマックス。銀テープも飛んだ「ピーク果てしなく ソウル限りなく」、「BEAUTIFUL DREAMER」のラスト2曲、ステージと客席は完全に一つになっていたと思う。Re-birthツアーから行われている、

「行ってきます!」

「行ってらっしゃい!」
の清々しい約束でライブは幕を降ろした。ライブのエンディングを飾ったのは前回のハイコミツアーのオープニング曲だった。

ライブはそこで終了、のはずだった。しかし終演のアナウンスが終わっても、轟音のようなアンコールは止まらない。間もなくメンバーが再び姿を現わす。
TERUは多くを語らず、「でっかいアンコールに応えて」、スタートしたのは「BURST」だった。ライブデビューしてからのGLAYのライブのラストを飾ってきた、一番古く、一番シンプルで力強い曲。
この時の気持ちを、どう表現したらいいのだろう。まず、山形までの旅とライブでの疲れが一瞬で吹き飛んだ。

「いくぜ!」

TERUの掛け声に、拳をあげて全力で応え、

「Let me BURST!」

のコールに、

「BURST!」

と全力で応える。

Wアンコールが実現したことの嬉しさ、ライブの楽しさ、声を出すことの気持ちよさ、間もなく終わるライブと、この旅の楽しさ、それを惜しむ気持ち、そんな気持ちが一体となった気分だった。会場渾身の「BURST」が終わり、メンバーがステージを去っていく。最後に、舞台袖で深々と頭を下げたのはTAKUROだった。
「本日はライブへの御来場、ありがとうございました。これからもGLAYへの応援をよろしくお願いします」
多分イレギュラーであろう、本当に最後の終演のアナウンスに拍手が起きた。

終演後の会場にもドラマがある。席からGLAYやメンバーの名前を叫ぶ者、涙ながらに「ありがとうございましたっ!」と叫ぶ者、会場の外で記念写真を撮る者。いろいろな会場で見てきた、胸の熱くなる光景だが、特別今日は清々しく見えた。例えるなら、競技を終えた、スポーツ選手のような表情の輝きが、彼らには見えた。

一言で言うなら、全員が同じ方向を向いて走っていたライブだった。その中でステージと客席が対決していた、そんな印象を受けた。
「HIGH COMMUNICATIONS」という言葉の意味を、GLAYは着飾らず、純粋に音楽で示してみせた。バンドが歩いてきた道のりと共に。そして、「HIGH COMMUNICATIONS」ツアーは再びアリーナツアーに戻るという。52公演で身に付けた、ライブの充実とバンドの円熟と共に。
「何年に一度はやりたい」とメンバーが語るライブ、「HIGH COMMUNICATIONS」、これからのGLAYの活動と共に、次に開催される時を楽しみにしていたい。そして、叶うならまた山形で見てみたい。




GLAY HIGH COMMUNICATIONS TOUR 2007-2008 3月17日 山形県県民会館
開場BGM〜HISASHIセレクション

M-1 ROSY
M-2 棘
M-3 彼女の"Modern…"
<MC>
M-4 YOU MAY DREAM
M-5 Lovers change fighters,cool
M-6 coyote,colored darkness
<MC>
M-7 SORRY LOVE
M-8 Life〜遠い空の下で〜
M-9 都忘れ
<MC>
M-10 STARLESS NIGHT<未収録曲>
M-11 AMERICAN INNOVATION
M-12 Lock on you
<MC>
M-13 誘惑
M-14 Runaway Runaway
M-16 HIGH COMMUNICATIONS
M-17 ASHES-1969- 

ENCORE
EN-1 HAPPY SWING
EN-2 SOUL LOVE
EN-3 ピーク果てしなく ソウル限りなく
EN-4 BEAUTIFUL DREAMER 

ENCORE2
EN-1 BURST




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